AUD(アルコール使用障害)はアルコール依存症と何が違うのか

依存症 暮らし
Photo by Eeshan Garg on Unsplash

飲酒に関するトラブルの中にAUD(Alcohol Use Disorder:アルコール使用障害)というものがあります。酒のトラブルといえばアルコール依存症がすぐ連想されますが、それとは何が違うのでしょうか。

結論から言うと、AUDとはアルコールの乱用(多量摂取)がみられる状態を包括したもので、アルコール依存症はAUDの括りでも重度のものとして扱われます。健康体と依存症のグレーゾーンにあたる不健全なアルコール摂取も治療すべき対象と見做している訳ですね。

最近急に聞かれるぽっと出の概念に思われますが、元々あった乱用と依存の概念を統合し再定義したのであって、誰かが突然言い出した新定義ではありません。そのため、由緒あるDSM-5を診断基準として用いることができます。(ただし、リンク先の資料を監修した久里浜医療センターは、香川県のゲーム条例にも一枚噛んでいたことは留意しましょう)

AUDはどんな状態か

AUDは依存だけでなくグレーゾーン(乱用)も含みますが、具体的な症状の説明となると依存症だけだった時代とさほど変わりません。酒から離れると離脱症状が出るとか酒を渇望し他の娯楽が手につかないだとか昔ながらの説明はありますが、最重要となるファクターは飲酒の量や頻度を自力で調整できないという一点にあると思います。

通常なら週に何日だけ等の自主規制をそれぞれ設けている訳ですが、AUDではそれが機能しなくなり、飲んではいけないときに飲む場面が増えていきます。重要なことが翌朝に控えていても、健康診断で指摘されても、社会や家庭の役割が果たせなくなっても、対人関係に悪影響が出ても、自分の意志で飲酒にリミッターをかけることが困難な状態です。

受診するかどうかのセルフチェックとしてAUDIT(オーディット)というスクリーニングテストが存在するので、不安ならやってみるといいかもしれません。印象としてはカップ酒300mlかハイボール500ml程度を週3日で相当ギリギリな感じです。

治療について

治療の目標と方法についても、依存症だけだった時と同じです。目標となるのは生活からアルコールを完全に引き離す「断酒」になりますが、ほんの少しでもアルコールが入るとたちまち暴飲に戻ってしまう厳しい状態で、実際に奈良漬けやティラミスから転げ落ちるケースもあります。依存症の対象にまた触れてしまうのを「スリップ」と言いますが、これは何度か起こるものなので、スリップ後のケアも治療のうちとなります。

AUDになってからは比較的軽症のケースに限り、飲酒の量や頻度を減らすだけの「減酒」を取り入れることがあります。断酒の心理的ハードルを下げるために減らすところから始める選択肢も生まれました。とはいえ、断酒が依然として確実であることに変わりはないですし、減らす程度に留めるかどうかは患者の状態と医師の判断によります。

治療法は主に心理社会的治療が採られ、具体的には疾病教育やセルフモニタリング支援や認知行動療法などが存在します。補助として薬物療法があり、飲酒の欲求を抑える薬や離脱症状への薬が出されますが、主となる心理療法を支える役割に留まります。

AUDの再定義によって、依存症になる手前から治療を受けられるようになった一方、異常となるラインが厳しくなった側面もあります。これをどう見るかは個々人の解釈によるでしょう。

参考サイト

AUD(アルコール使用症/アルコール使用障害)とは?
https://aud-sodan.jp

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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