漫画で分かったつもりになる子が多すぎる
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漫画で分かったつもりになる子が多すぎる
漫画「みいちゃんと山田さん」がXなどで大バズりしており、紙の単行本が重版になるなど尋常でないほどの関心を集めています。知的障害のある(診断は受けていない)みいちゃんと、過干渉な母親のもとで抑圧されてきた山田さんの12か月を舞台とした作品で、作者の実体験を基にしたフィクションと銘打たれています。
「みい山」には前身にあたるバージョンが幾つかあり、別に障害や福祉や夜職について物申すような漫画ではなかったそうです。救いようのないみいちゃんが定められた破滅へ向かっていく様子を追うのが本旨らしく、言うなればダメ人間観察系の作品みたいですね。一応、福祉の手を拒む障害者家庭や、知的障害者を雑に使い潰す風俗経営者なんかは実際に居ますけれども。
読んでいて心を痛める当事者親や、親の障害受容は皆が思っているよりも厳しいという声など、扱う題材が題材なのでその手の読者もついています。ただ、目に余るのは漫画で障害や福祉について分かったつもりになる子が多すぎることですね。脚色の可能性も考慮せず「ウシジマくんで社会の真実が分かっちゃった(暗黒微笑)」などと言っている中学生と大差なく、これをいい歳した大人が本気で言うようなら人生経験が極端に乏しいと思われます。だいたい、知的障害と発達障害、知的障害とダウン症、知的障害と自閉症を混同しておいてよくも偉そうに喋れるものですね。
もっと救えないのは、これに勇気付けられて「植松は正しい」「旧優生保護法は正しい」「産婆が締めるのは正しい」「T4作戦は正しい」と吠える輩です。「みい山」はとんでもないパピーミルになってくれました。ただ自分の偏った意見に権威性を付与するために漫画を使うのはなんとも情けない話です。そこまで植松聖や旧優生保護法を崇めるなら新興宗教でも立ち上げればいいのではと思うのですが、献金のスキームを作るほどの知恵も人望も行動力も無いので今のところはパピーミルで騒ぐだけが関の山なのでしょう。
というか、作者のXアカウントで公開された部分にすら「知的障害者だから犯罪をするわけではない」とハッキリ書かれているのですが、これについてはどうお考えなのかだけパピーミルのほうへお伺いしたいです。どうせ「障害者をやっつけるヒーロー植松マン」の妄想で忙しくて答えられないでしょうけれども。


