実は発達障害のせい!?~あまり知られていない発達障害の困りごと5選
発達障害 暮らし
こんにちは。陣内マリアです。
私は発達障害の当事者であり、海外と日本の2つの幼児教育国家資格を持つ幼児教育専門家でもあります。
今回は自分の経験を基に「発達障害のあまり知られていない困りごと」についてお話しします。
皆さんは、発達障害があると日常生活で具体的にどのような困りごとがあると思いますか?
発達障害に関する本では、たとえばASDなら対人関係、ADHDなら忘れ物や片付け、LDなら読み書きや計算に困ることが多いと説明されています。
しかし、実際の困りごとはそれだけではありません。
今回の記事では、
・あまり知られていない発達障害の困りごと5選
・困りごとへの対処法
・健常者への説明の仕方
についてご紹介します。
発達障害による生きづらさや対応策に悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。
1.あまり知られていない発達障害の困りごと5選
①姿勢が保てない
多くの発達障害の方は、体の「体幹機能」に課題を抱えていることがあります。
そのため、姿勢が崩れやすい方が少なくありません。
この「姿勢が崩れやすい」という特性は、日常生活を送るうえで大きな障害になることがあります。
たとえば、
・足を組まないと長時間座っていられない
・じっと座っていられず体が揺れてしまう
・無理な姿勢で座り続けることで骨が変形し、慢性的な体の不調に悩まされる
といった困りごとが起こります。
もし、あなたやお子さんが「長時間座れない」「座れても姿勢が悪い」といった困りごとを抱えているなら、体幹機能に課題があるのかもしれません。
② 物によくぶつかる
発達障害のある方の中には、「知覚推理」という“目で見た情報を処理する力”が苦手な方がいます。
この力が弱いと
・人や物との距離感がつかめずにぶつかってしまう
・物を家具などにぶつけて壊してしまう
といった問題が起こります。
また目で見た情報を処理できないために
・長文を読んだ時に必要な情報をすぐに見つけられない
・書類の間違いに気づけない
・散らかったものをどこに片づければいいのか分からない
といった問題も起こります。
「発達障害の人は不注意だから物にぶつかったり、見落としたりする」と思われがちですが、実際にはそうとは限りません。
もし、あなたやお子さんが十分に気をつけているのに頻繁に物にぶつかったり、情報を見落としてしまうようなら、視覚情報の処理に課題があるのかもしれません。
③トラウマ
特にASDのある方は、嫌な記憶を忘れられず、トラウマとして残ってしまうことが少なくありません。
このトラウマは、一般的な嫌な思い出とはまったく異なります。
何十年も前の出来事を突然思い出し、そのときのつらい気持ちがよみがえって、まるで「今ここで同じことがもう一度起こっている」かのように感じてしまうのです。
強烈な感情が脳を支配してしまうため、気持ちを切り替えたり、他のことを考えたりすることが極めて難しくなります。
トラウマが1つや2つであれば対処できることもありますが、発達障害のある方は教師や同級生から虐待を受けるケースも多く、その結果、数えきれないほどのトラウマを抱えてしまい、対応が非常に難しくなるのです。
④ 1つの考えやスタイルに固執してしまう
発達障害があると、1つの意見に強く固執してしまい、柔軟に他の意見を受け入れられなくなることがあります。
その結果、周囲の人がいくら忠告しても
・薬やワクチンを避け、民間療法に頼ってしまう
・特定の性別や人種に強い嫌悪感を抱き、その考えを拭えない
・特定の洋服や髪型にこだわり、状況に合わせて見た目を変えられない
といった問題につながり健康を害したり周囲から孤立したりします。
普段は優しくて良い人なのに、特定の話題になると過激な意見を言う、1つの意見やスタイルにこだわり、他の意見を一切受け入れられないといった特徴が見られる場合、その人は「特定の考えに固執しやすいタイプ」なのかもしれません。
⑤ 睡眠障害
発達障害のある方の中には、睡眠に課題を抱えている人も少なくありません。
その結果
・仕事中に眠ってしまう
・食後、強い眠気に襲われる
・不眠や過眠に悩まされる
といった症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたします。
もし、真面目で夜遊びもしていないのに仕事中に眠ってしまう人がいたら、その背景には睡眠に関する障害があるのかもしれません。
2.困りごとへの対処法
では、そのような困りごとにはどう対処していけば良いのでしょうか?
今回は、私が実際に試してみて効果があった方法をご紹介します。
①姿勢が悪い
私の場合、姿勢をサポートする工夫をいくつか試しました。
特に以下の
・コルセットのような姿勢サポーターで胴体を軽く締める。
・床に足がついていないとバランスが保てないため、椅子を低くしたり、足の下に踏み台を置いたりして姿勢を安定させる
・姿勢をサポートしてくれるバランスチェアを購入
・膝を揃えて座らないといけない時は膝の間に何かを挟む
という方法が効果的でした。
②物にぶつかる
物にぶつかることに関しては以下の方法が効果的でした。
・壁に沿って端っこを歩くことで物や人にぶつからないようにする
・なるべく家具を減らしゆとりのある広い部屋を作ることでぶつからないように対応する
・家具の端が丸い物を選びぶつかった時の怪我を防ぐ
・ドアノブをレバーハンドル(長く引っ掛かりやすい)物から丸いドアノブ、引き戸に替えぶつかった時の怪我を防ぐ
知覚推理の問題から文章を読めないという点に関しては
・音読したり読み上げ機能を使って音で情報を確認する
という方法で対応しています。
③トラウマ
これについては、まだ効果的な対応策を見つけられていません。
最近「トラウマに効く漢方薬がある」という話を聞いたので、一度試してみようかなと考えています。
④1つの考えやスタイルに固執してしまう
私は以前、見た目に関するに強いこだわりがありました。
そのため特定のメイクや髪型でないと外に出たくないと思う時がありました。
SNSでいろいろな髪型を見てみたり、自分とは正反対の意見に触れてみたりすることで、少しずつそのこだわりを和らげることができました。
⑤睡眠障害
私の場合、睡眠習慣を整えることと、仕事を変えることが最も効果的でした。
具体的には、
・21時~22時に就寝し、6時に起きる習慣をつける
・体を動かす教育現場系の仕事に転職する
ことで、仕事中に眠くなることがなくなりました。
また、薬ではコンサータ―が効果的でした。どんなカフェイン錠剤でも起きられなかったのが、この薬で起きられるようになったのです。
まずは、早寝早起きを3週間試してみて、それでも改善しない場合に薬を服用する、という方法もあります。
3健常者への説明の仕方
私たちは、身体機能や睡眠など、さまざまな部分で問題を抱えることがあります。
特に姿勢保持や睡眠障害に関しては、障害が原因で本人には全く非がないのに、教師・上司・同僚から厳しく叱責されることも少なくありません。
では、そうした場面であなたや保護者はどのように対応すればよいのでしょうか。
大手企業や海外で健常者と長年共に働いてきた経験から私が一番効果的だと感じる方法は次のように伝えることです。
・「すみません」とまず謝る
・「これは障害の影響で○○の症状が出ています」と状況を説明する
・「○○や○○の薬で対応しています」と改善策を伝える。
・「改善がなければ主治医と相談して他の治療法を試します」と、改善の意思を示しつつ障害の影響であることを主張する
このように伝えることで、相手に理解してもらいやすくなります。
実際、この世界では障害のある人を表立って責めることはタブーとされているため、障害の影響を説明しつつ、具体的な対応策も示すことが最善の方法です。
皆さんの障害での困り事が少しでも和らぐことを祈っています。
発達障害


