「時間指定しとるなら家におれや」被害者意識と配慮要求の衝突
暮らし
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配達員不足が叫ばれる近年は、負担を抑えるために再配達しないよう配慮を求める動きが加速しています。確実に家に居る時間を指定したり、宅配ボックスやコンビニ受け取りを利用したりといった配慮が呼びかけられ、配達員への心遣いを求めるテレビCMなどが打たれていました。これからは配達員を守ることも考えねばならない時代です。
そんな風潮が芽生えてきた2022年4月のある日、配達員の怒りがこもった不在票がネット上に晒されました。「19:00~21:00の時間指定な!」「時間指定しとるなら家におれや」と強い言葉が並ぶ不在票。このニュースを聞いた当時は、配慮されることに慣れ切った酷い配達員も居たものだと感じていました。自分が弱い立場だから配慮しろと叫ぶ様子は見ていて気持ちのいいものではありません。
ところが、この話には裏と言いますか、消費者側にも落ち度がありました。最初の配達も含めて3回も来させており、その全てで仕事や飲み会を理由に不在だったというのです。指定するなら家で待てる日時を選ぶ、仕事から帰っている自信がないなら宅配ボックスやコンビニを指定する、指定したなら余分な予定を入れないといった対策を全くしておりません。
その上で「不在票の文面が攻撃的だ」としてサポートセンターへ報告、配達員と会うのが怖いからと注文をキャンセルしています。消費者の男性はJ-CASTニュースの取材に対し「家に居なかったのは自分の落ち度だし、頭に来るのもわかる。だが仕事でやっている以上はもう少し柔らかい言葉選びをしてもらいたい」と答えています。
ネット上の反応はというと、消費者側の非常識さを責める声が多かったです。確かに何の対策も取らずクレームをつける様子は、被害者意識ばかりが先行しておりとても大人の対応とは言えません。大事な予定を何度も失念する「ADHDしぐさ」も反感を買った要因でしょう。勿論、消費者側に診断名は無いので何を言っても憶測の域を出ないのですが。後に消費者側は「批判ばかりで精神的に参った」と書き込みを削除しています。
話は変わりますが先日、「西松屋で買い物していると子どもがぐずり始めて焦った」という書き込みに「西松屋で赤ん坊の泣き声はBGMだから気にしないで!」「寧ろ癒されるまである。どんどん泣いてもらって構わない」と擁護する声が殺到しました。ベビー用品店で乳幼児の泣き声が響くのは当然と言えば当然ですが、だからといってこの庇いようは必死すぎます。少子化の中で貴重な乳幼児を守ろうとする働きが過剰に作用しているのでしょう。やはり将来の労働力を保護しようとする気持ちの表れでしょうか。
同様に、配達員の側が同情されているのも「大事な社会基盤」であるからでしょう。配達員が自分の仕事を嫌にならないよう、保護するために一人ひとりが出来ることをせよと呼びかけられています。医師を守るためにコンビニ受診を控え、乳児を守るために泣き声を赦し、配達員を守るために再配達させないよう努める。どれほど想像力が低くても、配慮をしなければ最後に困るのは自分だと分かりやすいからこそ、気遣いについて考えさせられるものです。逆に「実利」が認められなければ、どれほど酷い扱いを受けるのでしょうか。
参考サイト
「時間指定しとるなら家におれや」Amazon不在票にブチギレ書き込み…いったい何が?
https://www.j-cast.com


