メンタルパフォーマンス、略して「メンパ」

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Photo by Joachim Schnürle on Unsplash

限られた資金でなるべく多くの結果を出すコスパ(コストパフォーマンス)、同じ時間でより多くのことを詰め込もうとするタイパ(タイムパフォーマンス)に次ぐ新たな概念が生まれています。その名は「メンパ(メンタルパフォーマンス)」といい、メンタルの負担を抑えることこそ至上とする考え方です。

その効率化の目的は、自分を「良い状態」に保つため。情報洪水で精神をすり減らしたタイパへの反省意識から、興味や適性のない分野からの情報を遮断して「疲れない」ことを重視しています。詰め込み教育の反動でゆとり教育に傾いたかつての歴史が、個々人の中で再現されているといったところでしょうか。

現代人が何に精神的な疲れを感じているかと言えば、主にSNSでの乱痴気騒ぎとWeb上の情報収集が挙げられます。上澄みだけ放出されたり喧嘩と怒りの消費に明け暮れたりするSNS生活にほとほと嫌気が差すのは自然なことでしょう。不快な情報を遮断するようブロックなどを行使して、少しでも良いSNS環境を構築しようとしています。ただ、怒るためにSNSを徘徊しているような層が疲れを感じるかどうかは疑問です。

もう一つの情報収集が何なのかというと、求める情報のために検索して回るのにも嫌気が差したということです。SEOに強いだけで実のないページばかり出て、望んだ情報や知識へ辿り着かないことに苛立ちを覚える人間は想像以上に多かったようですね。求めている情報へ行きつかないことがメンタルを損なうという共通認識が出来上がっています。

このムーブメントは生成AIの隆盛と密接な関係があります。問えば直ちにそれなりの答えを返してくれる生成AIは、SEO競争にまみれた検索窓に比べれば数段優秀です。時代考証やリーガルチェック、果ては意思決定にまで影響は及んでおり、「疲れない」情報収集がこれから重視されることを予感させます。

ただ、生成AIには「ハルシネーション」という宿痾があることは念頭に置かねばなりません。重篤なほどの知ったかぶり体質なので、出された内容を鵜呑みにしていては嘘やデマに踊らされるのも時間の問題です。試しに、自分がよく知っている分野で突っ込んだ質問をしてみれば意外と粗末な返答が来ると分かる筈です。本来は一歩踏み込んでファクトチェックしたり質問をもっと具体的にしたりする手間が求められます。

また、基本は太鼓持ちであることも生成AIの懸念点です。よほど露骨で過激な人格否定でもない限り話に合わせてきますし、全肯定モードで接してきます。そのため確証バイアスやエコーチェンバー効果に陥りやすく、思考(思想)の凝固や先鋭化もしやすいです。いずれにせよ、AIに使われるようではお話になりません。

精神の摩耗を抑えたい欲求は理解できますが、情報の真贋を疑い確かめる姿勢だけは忘れずにいたいものです。苦労や手間を貴ぶわけではありませんが、「道具」を使うのであれば相応の扱いや作法が求められてきます。

参考サイト

若年層が求める「メンパ」とは?タイパとの違いや背景、付き合い方
https://note.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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