特別支援学校卒を中学卒業者数に勘定しないとどうなる?

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Photo by Carl Raw on Unsplash

乙武洋匡さんはかつて執拗な罵倒を仕掛けてくるアカウントに対し「超えちゃいけないライン考えろよ」と叱ったことがありました。あの時を思わせる「馬鹿にするな」とお叱りのポストが文部科学省へ向けられています。なんでも、文科省のある統計が特別支援学校を勘定に入れていなかったとのことです。

文科省には学校基本調査というものがあり、学校の数、生徒の数、入学と卒業の数などを幼稚園から大学まで特別支援学校も含めて毎年聞き取って集計しています。これに1999年度の報告書から、短大を除く進学をした「大学進学率」という項目が登場しており、「大学入学者」と「3年前の中学卒業者」で割って算出しているのですが、その「中学卒業者数」に特別支援学校中等部が含まれていませんでした。その影響で、教育政策の重要指標でもある「18歳人口」に狂いが生じ大学進学率が本来より高く出ています。分母が小さいと答えは大きくなるわけです。

例えば2024年度の18歳人口は106万3451人で大学進学率は59.1%となっています。これに3年前の支援学校卒9836人を合算すると、18歳人口は107万3287人で大学進学率は58.6%に下がります。このように、特別支援学校中等部の卒業者を含めて計算しなおすと、大学進学率は文科省の公表より0.17~0.54ポイント低く出て、その差も拡大傾向にありました。

これに乙武さんをはじめ、Xなどでは「特別支援学校の障害者は大学へ行けないとタカをくくっているのか。馬鹿にするな」と糾弾のポストが続出。一方で、「単に統計上のエラーだから大目に見てあげて」と文科省に悪意がないとする意見もありました。ただ悪意はなくともミスやエラーを長年放置していたのは事実で、松本洋平文部科学大臣は記者会見で早急な見直しを図るとしています。

確かに悪意はないのでしょうけれども、既に「障害者は働けない」という前提で成り立っている障害年金という先例があるので、そういう邪推は甘んじて受けるべきだと思います。その後で「障害者も働ける」「支援学校卒でも大学に行ける」と捉えなおして統計をアップデートすればいいのではないでしょうか。

それと、擁護意見の中には「差別ではなく区別」という見飽きたお題目もありましたが、ノイズとして「区別」されるべき人間はお呼びでないことくらい分かって頂きたいものです。空気を読める定型健常であらせられるならば。

参考サイト

特別支援学校生を18歳人口から除外 文科省、大学進学率が不正確に
https://news.yahoo.co.jp

大学進学率、特別支援学校生を除外 文科省が算出方法を見直しへ
https://www.nikkei.com

遥けき博愛の郷

遥けき博愛の郷

大学4年の時に就活うつとなり、紆余曲折を経て自閉症スペクトラムと診断される。書く話題のきっかけは大体Twitterというぐらいのツイ廃。最近の悩みはデレステのLv26譜面から詰まっていること。

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